TOPへ

食道がん

早期発見が難しい
「食道がん」

食道粘膜が様々な要因によってがん化したものを「食道がん」と言います。
日本人の食道がんにおいては、食道の中央付近に発生することが多かったものの、近年は欧米でよく見られる食道下部に発生するケースも増えてきています。
早期の段階ではほぼ無症状であり、未だ早期発見の難しいがんの1つです。ただ、その中で定期的な胃カメラ(内視鏡)検査は、食道がんの早期発見に有効な検査と言えるでしょう。

頚部食道がん

  • 食道の入口3センチくらいにできるがん
  • 咽頭・喉頭へと広がりやすい

胸部食道がん

  • 頚部食道から横隔膜までの範囲にできるがん
  • 食道がん全体の約半数を占める

腹部食道がん

  • 横隔膜から胃までのあいだにできるがん
  • 最近はこの部位のがんが増えている

食道がんはリンパ節転移を
起こしやすい?

がん細胞は、放置していると無限に増殖します。
食道がんの多くが食道粘膜のもっとも内側で発生しますが、その後どんどんと層を超えていき、食道粘膜下層にあるリンパ節への転移が起こることが少なくありません。

生活習慣が食道がんの
原因に

生活習慣が食道がんの原因に食道がんの二大要因は、喫煙と飲酒です。特に扁平上皮がんは、喫煙・飲酒との深い関係を持ちます。
お酒を飲んだ時に顔が赤くなる人(アセトアルデヒドを分解する酵素の活性が低い人)、喫煙・飲酒の両方の習慣のある人は、そうでない人よりも食道がんのリスクが高くなると言われています。
その他、食道粘膜への刺激となる熱すぎるものをよく食べる人も、食道がんのリスクが高くなるものと考えられます。

食道がんになりやすい人の
特徴

  • 50歳以上の人

  • 喫煙、飲酒の習慣がある人

  • アルコールを飲むと顔が赤くなる人

  • バレット食道、食道アカラシア、腐食性食道炎の診断を受けた人

  • 頭頚部がんの既往がある人

  • このいずれか1つでも該当する場合には、食道がんのリスクが比較的高いと言えます。早期には無症状である食道がんであるからこそ、早期発見には定期的な胃カメラ(内視鏡)検査が大切になります。

初期症状はある?
食道がんの症状チェック

早期には無症状であることが多く、ある程度進行してから、以下のような症状が現れます。

  • 声がかれる

  • 熱いものがしみる

  • 咳がでる

  • 飲み込みにくい

  • 体重減少

  • 胸・背部の痛み(背骨に転移した場合)

食道がんの検査・診断

食道がんが疑われる場合には、以下のような検査を行い、診断します。

食道内視鏡検査

胃カメラを用い、食道の粘膜の状態を観察します。疑わしい部位があれば、この検査の際に組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。
特殊な色素やライトを用いて、病変部を際立たせ、その発見や範囲の判定に役立てることもできます。

胃カメラについて
詳しくはこちら

X線検査

バリウムを飲んでレントゲン検査を行う、いわゆるバリウム検査です。がんのある部位や大きさなどを把握することができます。

超音波内視鏡検査

超音波(エコー)検査と内視鏡検査を組み合わせた検査です。
内視鏡の先端にある超音波装置によって、食道粘膜の層構造、食道の外の構造などを調べます。食道がんの深さや浸潤・転移の有無などが分かります。

病理検査

内視鏡検査などで採取した組織の中にがん細胞があるかどうか、またどのようながん細胞であるかを、顕微鏡を用いて調べる検査です。

CT・MRI検査

がんの浸潤や転移の有無を調べます。食道がんの進行の判定において、非常に重要となる検査です。

CT検査について
詳しくはこちら

MRI検査について
詳しくはこちら

超音波(エコー)検査

体表から超音波をあて、頚部・腹部のリンパ節・肝臓などへの転移の有無を調べます。気管や甲状腺、頚動脈などについても調べることができます。

超音波検査について
詳しくはこちら

PET検査

ブドウ糖を多く取り込むというがん細胞の特性を利用した検査です。
放射線ブドウ糖を注射投与し、取り込んだ細胞の分布を調べることで、全身のがん細胞を検出することができます。

腫瘍マーカー検査

血液検査でがんのリスクを調べます。
食道がんのうちほとんどを占める扁平上皮がんにおいては、腫瘍マーカーのSCC(扁平上皮がん関連抗原)、CEA(がん胎児性抗原)、CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)が該当します。腺がんの場合は、CEAとなります。

食道がんの進行度別治療法

表在食道がんの場合

食道粘膜の下層までに留まる「表在食道がん」の場合には、内視鏡治療、手術、化学療法、放射線療法などが行われます。食道付近にあるリンパ節の切除の必要性を判断し、それにより治療法が選択されます。
リンパ節を温存できる(リンパ節転移の可能性が低い)場合には、内視鏡治療を行います。電気メスを内視鏡の先端から出し、病変部を切除する手術です。局所麻酔下での手術が可能であり、身体への侵襲も抑えられます。
ただし、切除した病変部を調べてリンパ節転移の可能性があると判断した場合には、追加治療が行われます。
内視鏡治療の適応外となる場合には、手術や化学療法・放射線療法が行われます。

進行食道がんの場合

粘膜下層よりも深い層にまで広がっている「進行食道がん」の場合、遠隔臓器への転移がなく、きれいな切除が込める場合には、手術が選択されます。ただし、がんの広がり方や患者様の年齢・体力によっては、化学療法や放射線療法が単独で行われたり、手術と組み合わせたりすることがあります。

食道がん患者は
何年生きられる?
5年生存率は?

食道がん患者は何年生きられる?5年生存率は?食道がんは、食道粘膜の表層までに留まる早期に発見できれば、5年生存率が75%以上となります。一方で、遠隔転移を起こしている場合には、その数字が20%ほどにまで低下します。
食道がん全体の5年生存率は約37%であり、約65%である胃がん、約70%である大腸がんと比べると、予後は良くありません。これは、食道がんが比較的早い段階から、周囲の組織へと浸潤したり、転移したりしやすいがんであること・そもそも発見が遅れがちであることが影響しているものと考えられます。
食道がんの早期発見でもっとも重要になるのが、定期的な胃カメラ(内視鏡)検査です。症状の乏しいがんであるため、特に50歳以上の人、喫煙・飲酒の習慣がある人は、1年に1度の胃カメラ(内視鏡)検査をおすすめします。食道だけでなく、胃・十二指腸粘膜の病気の早期発見にも役立ちます。