良性・境界・悪性に
分類される葉状腫瘍
葉状腫瘍とは、乳房にできる腫瘍の1つです。乳腺組織を成す上皮と間質細胞のうち、主に間質細胞が腫瘍化・増殖したものです。楕円状でやわらかく、2~3カ月くらいの短期間で大きくなります。35~55歳で好発すし、うちもっとも頻度が高いのが40代です。
葉状腫瘍は、病理組織検査により、良性・境界・悪性に分類ができます。悪性の場合は、約2割程度が転移を起こします。良性の場合も局所再発することがあり、再発時には悪性へと転化することもあるため、注意が必要です。
広範囲切除、または大きさによっては乳腺切除が必要になることもあります。
葉状腫瘍の原因は?
乳腺の腺管上皮にできる乳がんとは異なり、葉状腫瘍は主に間質細胞が腫瘍化・増殖したものです。
なぜ腫瘍化するのかだけでなく、どんな因子がリスクになるのか、遺伝性の有無を含め、はっきりしたことは分かっていません。
乳腺線維腺腫から腫瘍化するという意見もありますが、これも立証はされていません。
葉状腫瘍の症状は
しこりが大きくなる?
- 乳房のしこり
- 2~3カ月単位での急激な増大
2~3カ月ではっきりと変化が分かるくらい、しこりが急速に増大することが多いのが特徴です。しこりのないところから、数カ月で10cmくらいにまで大きくなることもあります。
原則、しこり以外には特段の症状は見られません。良性の葉状腫瘍が転移することはありませんが、悪性の場合は転移をします。また良性の場合も、局所再発した場合には悪性転化することがあるため、経過観察が重要となります。
葉状腫瘍の検査と診断
問診、触診の上、超音波(エコー)検査、マンモグラフィ検査を行います。
乳がんと鑑別し、腫瘍細胞の分葉状構造の有無を確認した上で、針生検で採取した組織を観察し、診断します。
葉状腫瘍の治療(手術)
葉状腫瘍の治療では、手術が行われます。再発率が高いこと、良性であっても再発した場合にはがんへと転化することがあることから、完全切除が重要になります。基本的には良性であっても広範囲切除または乳房切除が推奨されます。
良性であり、ごく小さい場合には、患者様のご希望などを考慮し、経過観察に留めることもあります。ただしその後も、必ず定期的な受診が必要になります。