足底筋膜炎とは
足底筋膜炎とは、足裏のかかと~足指の付け根の足底筋膜で炎症・痛みが起こる疾患です。朝起きてから、あるいはしばらく休んでからの第一歩目など、安静後の始動時に痛みが出やすいという点が特徴として挙げられます。
マラソンなどの足裏に負担のかかる運動、長時間の立ち仕事などが主な原因となります。若い世代よりも、中高年での発症が目立ちます。
足底筋膜炎の原因
以下のような原因により、足底筋膜と骨の付着部で炎症が起こり、痛みが発生します。
足裏に負担のかかる運動の
繰り返し
マラソン、ジョギング、ハイキングなどのスポーツの習慣、立ち仕事などが、足底筋膜の炎症につながることがあります。
またスポーツをする際、アスファルトやコンクリートなどの上で行うと、よりリスクが高くなります。できる限り、陸上競技場や土の上で運動をするのがおすすめです。
加齢
加齢により、誰でも足底腱膜が徐々に硬くなり、クッション性が低下することから、ダメージが残りやすくなります。
足裏のアーチの
バランスの崩れ
先天的あるいはタコなどによって、足裏のアーチが高すぎる・低すぎる場合には、足底筋膜に負担がかかりやすくなります。
運動不足
運動不足によってふくらはぎの筋肉が弱かったり、アキレス腱が硬くなっていると、足を踏み出す際に足底筋膜に負担がかかりやすくなります。
靴が合っていない
靴が合っておらず足裏のアーチを正しく支えられていない、そもそもサイズが合っていないという場合には、足底筋膜への負担が大きくなります。合っていない靴を履いて激しいスポーツをすると、より負担が増します。
足底筋膜炎の初期症状は?
足底筋膜炎の代表的な症状に、安静後の始動時の痛みがあります。朝起きてから、あるいはしばらく休んでからの第一歩目に強い痛みが出やすくなります。そして、歩いていると次第に痛みが軽くなっていく、という特徴を持ちます。
- 歩き始めの足底筋膜の痛み
- しばらく歩いていると痛みが和らぐ
- さらに長く歩いていると再度痛みが出る
- 足底筋膜の軽い腫れ
- 足指を反らした時の足底筋膜の痛み
- 足の裏を指で押した時の痛み
足底筋膜炎の検査と診断
レントゲン検査
足底筋膜炎では、しばしば踵骨棘が生じます。レントゲン検査では、この踵骨棘の有無を調べたり、他の疾患との鑑別を行ったりします。
疼痛誘発検査
足底腱膜を押した時の痛みの有無、腫れの有無・場所を調べる検査です。
足底筋膜炎の治療
足底筋膜炎の治療では、薬物療法やリハビリテーションなどが行われます。
なお、基本的には当分のあいだ、原因となるスポーツ・立ち仕事を制限します。
薬物療法
消炎鎮痛剤の内服、外用などにより痛みを和らげます。
痛みが強い場合には、期間を限定してステロイド注射を行うことがあります。
リハビリテーション
ストレッチや筋力トレーニングといった運動療法、治療器を用いた理学療法など、装具療法などを行います。
医師の指導のもと、患者様お一人おひとりに合ったリハビリテーションを提供いたします。
足底筋膜炎の人が
やってはいけないこと
無理な運動をする
医師の指示に従い、運動は制限します。少なくとも、原因となったと思われるスポーツは当分のあいだお休みとなります。立ち仕事などについても、制限が必要になることがあります。
かかとへ衝撃を与える
ダッシュ・長距離走、ジャンプ、ダンスをはじめとする、かかとへの負担の大きい動作は避けてください。
個別に指示をいたしますが、運動の再開時にはウォーキング、水泳など、足裏への負担の少ないものから開始します。
市販の鎮痛薬を使い続ける
出先で急に痛みがひどくなった場合など、市販の鎮痛薬(痛み止め)を使用しても構いません。
ただし、あくまで応急的なものとし、その後は医師に相談し、治療・処方を受けるようにしてください。
合わない靴を履く
合わない靴を履いていると、たとえ激しい運動をしなくても、症状が悪化する可能性があります。靴を選ぶ時には、縦の長さだけでなく、横幅、甲・アーチの高さなども考慮することが大切です。
また、スリッパ、ビーチサンダル、ハイヒールなどは、足底への負担が大きくなる可能性があるため、できる限り避けます。
自己判断での冷却・温めを行う
急激な炎症を抑えることを目的として、患部を冷やすということは、適切に行えば有効な手段となります。また一方で、慢性的な痛みには温めるのが有効になることもあります。
ただしいずれも、タイミング・方法を誤ると逆効果になるということがあります。冷却も温熱も、自己判断で行うのはあまりおすすめしません。
足底筋膜炎予防のための
セルフケア
足底腱膜炎は、以下のような方法で予防することが可能です。
足の裏にかかる負担を
軽減する
普段から正しいフォームで歩く、足に合った靴を選ぶ、運動は土の上で行う、適正体重を維持するといったことで、足裏への負担を軽減することができます。
ふくらはぎの筋肉を
鍛える・柔軟性を保つ
ふくらはぎの筋肉を鍛えたり、アキレス腱や足首の柔軟性を維持することで、足裏への負担を軽減することが可能です。筋力も柔軟性も、誰でも加齢とともに少しずつ低下していきますので、日ごろから意識して運動をすること、しっかりと栄養を摂ること・休むことが大切です。
ご自宅などで簡単に取り組めるストレッチ・マッサージをご紹介します。
アキレス腱のストレッチ
学校の体育の授業や部活の準備運動などでも行われる、よく知られたストレッチです。
立った状態から片脚を後方に引き、重心は前にかけ、反動をつけずに後ろの脚のアキレス腱を伸ばします。踵をしっかりと地面につけておくのがポイントです。1分間伸ばしたら、反対側の脚でも同じことをしてください。
※反動をつけると、アキレス腱を傷めてしまうことがあります。ゆっくりと伸ばしましょう。
※転倒が心配な場合は、柱、しっかりしたテーブルなどを支えにしてください。
足底筋膜マッサージ
座った状態で片脚の膝を曲げ、その足の指を5本一緒に、手を使って反らします。
その状態のまま、反対側の手で足の裏をよく揉みほぐします。1分ほどマッサージをしたら、反対側の脚でも同じようにします。